介護の仕事といっても、いろいろな形態があります。仕事の内容によって、お給料の査定も変わるのが普通ですが、さらに介護の仕事の場合、どの資格をもっているかということが、お給料の額にも反映されてきます。
ここでは、厚生労働省の調査から具体的な数字を引きながら、介護の資格とお給料の関係について、みていきましょう。
厚生労働省は、毎年、「介護従事者処遇状況等調査結果」という調査報告を公表しています。
介護職の人がどのような待遇を受けているのか、給与や昇級などの具体的な状況について調査した結果です。2018年度は、約8,000施設・事業所を調査対象としています*。
※「平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果」 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/19/
まず全体の状況として、常勤の介護職員の月給では、前年比10.850円増*。介護保険の介護報酬でも、介護職員の処遇改善のために年々報酬アップを図っているところから考えても、業界全体が向上傾向にあるといえるでしょう。
※介護職員処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅴ)を取得(届出)している事業所における介護職員(月給・常勤の者)の平均給与額の比較
それでは、いよいよ介護資格ごとの時給について見ていきましょう。
介護福祉士 | 1,373円(1,380円) |
実務者研修(ヘルパー1級) | 1,317円(1,349円) |
介護職員初任者研修(ヘルパー2級) | 1,297円(1,370円) |
保有資格なし | 1,164円(1,139円) |
介護支援専門員 | 1,302円(1,340円) |
社会福祉士 | - (1,223円) |
年間の平均給与額から割り出した時給。( )内は「非常勤」の場合
資格がない介護職と、何らかの資格を有する介護職では、時給に差があることは明白ですね。特に時給が高いのは、介護福祉士です。
介護福祉士は国が認めている国家資格。資格を得るのも、実務者研修・介護職員初任者研修を受けるのにくらべて格段に大変ではありますが、その苦労をするだけの価値はありそうです。
また、給与には時給・月給のほかにも、さまざまな手当が用意されています。特に介護職に関わるのは資格手当でしょう。資格手当が給与に大きく反映しやすいのは、介護福祉士・介護支援専門員・社会福祉士です。
ご存知のように、介護支援専門員はケアマネジャーと呼ばれています。介護職として経験を積んだ末に、さらに試験を受けて合格した人だけがケアマネジャーになることができ、十分な資格手当が望める職です。
社会福祉士は、介護や医療の職場でソーシャルワーカーを目指す人にとって必要な資格ですが、ソーシャルワーカーという職がそれほど多いわけではなく、一方で、介護職もソーシャルワーク(相談援助)の要素を含んでいます。利用者を援助する上で、そのスキルがあるに越したことはなく、資格保有者に対して手当を支給する職場は少なくありません。
このほか、年齢、勤続年数、勤務形態、勤務先の業態、役職の有無などが給与の増減に関わってきます。
ベテランの介護職では、介護福祉士・介護支援専門員・社会福祉士の資格すべてをもっている人もそれほど珍しいことではありません。
スキルを身につけるだけではなく、それを「資格」というかたちにすること。それが介護業界の鉄則です!