介護の仕事をしている人も、これから転職を考えている人も、「介護士の仕事は何歳くらいまで続けられるのか」、気になるところではないでしょうか。
結論から言えば、介護士の仕事は健康と体力の続くかぎり、何歳まででも続けることができます。
正社員の場合の定年は60歳から65歳くらいと、一般的な企業の社員と変わりません。非常勤であれば、施設や事業所ごとに規定はあるものの、何歳でも働き続けることは可能です。実際に、現場では利用者と同年代の介護士がたくさん活躍しています。
ここで、介護職には大きく分けて2種類の仕事があることをおさらいしておきましょう。
社会福祉分野の専門職は、一般名と資格名が混在している上に、歴史的な背景から昔ながらの呼び方が残っていたりして、不明確なところが多々あります。
業界内で呼び方が統一されていないため混乱してしまうかもしれませんが、ここでは、理解しやすいように、上記のように分けて考えることにしましょう。
簡単に言えば、「介助をする人」と「相談を受ける人」がいるということです。
この2つには、「向いている仕事かどうか」を考える上で、“肉体労働”か“頭脳労働”かに二分してもいいぐらいの違いがあります。
現場で介助などを行う「ケアワーク」が“肉体労働”、相談を聞いて解決を図る「ソーシャルワーク」が“頭脳労働”にあたると考えてください。
多くの場合、介護福祉士やヘルパーとして実務経験を積んだあと、試験を受けてケアマネジャーの資格をとります。こうして、ケアワークからソーシャルワークに移行するという流れが一般的です。
なぜなら、ソーシャルワークの仕事をするには、現場経験が非常に役立ちますし、より多くの専門的な知識やスキルの蓄積が求められるからです。
現場で経験を積んだ介護士は、このように介護業界の中で働き方を変えるケースが、ごく一般的といえます。
「介護士として何歳まで働けるか」を考える大きな理由は体力面での不安ではないかと思いますが、体力が減退したり、どこか体に不調が生じたりしたからといって、介護の仕事を続けられなくなるということではありません。
体力が衰えても、それまで培った経験を生かして介護業界で働き続けることができるのです。
もちろん適性や本人の希望などで、ケアワークの仕事にとどまるということも十分考えられます。
その場合でも、施設長などの管理職としてマネジメントや人をまとめる役割を担う、事務職に転向する、といった道があります。
“肉体労働”ができなくなったらキャリアが終わってしまうのではないかといった心配は無用といえるでしょう。
もし体を壊してしまえば、介護士として現場で利用者のケアにあたることは難しくなります。そのような状態では、利用者に危険をもたらしかねませんので…。
大切なのは、介護士として働いている期間、どれだけ“いい仕事”を積み重ねていくか。いい仕事をしてきた人は評価され、その経験を生かせる場は介護業界の中にいくらでもあります。